2012年11月14日水曜日

<からだの座学>葛西薫さん/安藤隆さん【デザインとからだの座談会】

<からだの座学>今回のレポートは、
 葛西薫さん(グラフィックデザイナー)/安藤隆さん(コピーライター)による
【デザインとからだの座談会】です!



今回は特別に、座談会の前に松島誠先生のレッスンを見学して頂きました!


松島先生のワークでは”ことば”から発生したイメージを“からだ”で“出来るだけ自由に表現”するというワークを実践。
言葉のもつイメージや自身の思考のクセを脱し、 出来るだけ遠くへ行く(自由な発想を手に入れる)ためのレッスンとなりました。


 今回のテーマは”政治について”ということで、
普段扱う機会があまり無い題材に苦戦しつつも、PAI生たちはなんとか表現してゆきます・・

見学後、葛西さん・安藤さんは「なんだかわけが分からなかった。(笑)」
としつつも「作って行く過程や、なにか(自由な発想を)つかもうとしている姿が見えて、非常に面白かった。」 と語ってくれました。




「デザインも(即興表現とおなじく)なぞると死んじゃう。
言葉は言葉で生きているし、絵は絵で生きているから、
それを一番活かした状態であげることが大事。」(葛西さん)



いよいよ座学のスタートです!




先ずは葛西さんの生い立ち(?)から現在にいたるまでの経緯をお話頂きました。

高校3年の修学旅行の帰り、初めてつくった(装丁から中身まで全て!)アルバムや、
 印刷会社に就職後、はじめて表面を手掛けた広告、






そして”デザインをする“ということに目覚めた1枚も見せて頂きました。

「具体的なものを省いたデザインの方がとおくへいけることを知った」とおっしゃる葛西さん。先程の松島さんのワークに通じるものがあります。


続いて安藤さんのお話を伺うことに。
「広告という言い方と、宣伝という言い方があるが、広告には文化的な匂いがする。宣伝はある種プロパガンダ。たくさん数をやったり、歌にしたりすると人間は親しんでしまう。僕は宣伝がすき。葛西さんと僕の違いはそこかな。(笑)」

そもそも「コピーライター」がどういうものか知らずにこの職につかれたとおっしゃる安藤さんは、それ以前は出版社で専門誌の編集などをされていたそうです。


「クライアントやスポンサーの要望を言葉にするのが仕事、だけどそれをいちど自分の中にいれて言葉にする。ただ忠実に再現しても面白くない。」
安藤さんが注目されるきっかけとなった作品、HONDA「クリーン・エイジ1972」や、サントリーウィスキーの広告を見せて頂きました。


なかでも【サントリーワイン レゼルブ】は大きな転機となった作品で、
『タノシイ マイニチ ニコニコ ワイン』というコピーが印象的です。
当時のことを安藤さんは「200本くらい案を出したがなかなか決まらず苦労した挙げ句、ばかでノー転機なコピーになった。うまくやろうとしている時には出来ないようなことができた。自分になれた経験だった。」と振り返ります。

葛西さんがはじめてほめてくれたコピーだったそうです・・・!





続いて葛西さんのターニングポイントとなった作品、サントリーオールドウィスキーのデザインを見せて頂きます。
魚住勉さんによる『アイ ラブ ユー。』というコピーが先にきまっていたそうで、ラフのイメージを出したときには担当者から「ストイック過ぎないか」とも言われたそう。
写真家の菅 昌也さんとスタイリストの北村道子さんと共に、帽子を選び、老人を選び、東京駅で、奇跡的な絶好の陽気を向かえて、の撮影により完成した本作で葛西さんは、まさに計算と無計算との間にある絶妙な関係を始めて理解したのだとか。



その後、お二人の代表作のであるサントリーウーロン茶の
未公開イメージ(残念ながら没になってしまったそう・・!)や、
個展の際に構想した「エアロ」の画集、 映像作品も見せて頂きました。



バトミントンをモチーフにした撮影では、葛西さんからの徹底的な指導に、出演しているモデルさんが泣き出してしまったという秘話も・・・w



今回の講義をへて安藤さんは
「みんなのパフォーマンスに“言葉にできないもどかしいもの”を見て、
まだまだ言葉の抽象化に慣れていないと実感した。」

葛西さんは
 「観念にとらわれないで手数を重ねることがとても重要。
自分は舞台の人間ではないけれど、つくるということは“同んなじだね”ということ。それだけが唯一伝えられることかなと思う。」とおっしゃっていらっしゃいました。











なにかを作り上げる過程において妥協をしないこと、
本質を見抜きながら出来るだけ遠くへ行くこと。
その方法について3人の先生から学んだ、とても贅沢な1日となりました☆



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