2012年11月22日木曜日

<からだの座学>津村禮次郎さん「能に学ぶ」


<からだの座学>津村禮次郎さん「能に学ぶ」ワークレポート!

11月6日、能楽師であり重要無形文化財「能楽」保持者の津村禮次郎さんにお越しいただきました!
舞台芸術の学校は、ジャンルに偏らない総合的な学びの場。
今回は「能に学ぶ」をテーマに、日本古来の舞台芸術や文化に触れることができました。

まずは、正しい「正座」から!
正座は日本独自の文化の一つで、平安時代までは他の諸国同様“あぐら”をかいて座っていたのだそうです。


能の舞台では緞帳がなく、上演時間中正座で過ごしながらきちんと立ち上がり歩いて帰らなくてはならないため、
皆、正しい重心・姿勢を習得しつつ訓練を重ねるのだそうです・・・!

そしてお辞儀。
お辞儀の仕方はそれぞれ特徴があるそうで、
「見ただけで日本舞踊、お茶、能、などなにをやってる人か一目でわかる。」と津村さん。

扇子は能の舞台では裏方も含めすべての方がお持ちだそうで、
表現の道具でもあり、結界の意味もあるのだそうです。
自身の膝の前に置き、しっかりと上半身を倒し、「よろしくお願いします。」と一言。
下できちんと止めることがポイント。

姿勢をただし・・・「よろしくお願い致します!」


その正座の姿勢のまま、日本の舞台芸術に関する系譜似ついてお勉強させて頂きました!
雅楽、散楽、猿楽、田楽、、、耳にしたことはあっても正確な意味は知らなかったさまざまな言葉が並びます。
文楽、歌舞伎、組踊、能・・・



能は700年の歴史をもつ世界最古の舞台芸術で、ユネスコに「世界無形文化遺産第一号」として認定されました。
創設当初の台本、音楽や形も含めた形で残っている類稀な芸能だそうです。

それぞれの時代の流れの中で、言葉、身分、信仰など様々な要素が緩やかに混ざり合い、
変化しながら今まで受け継がれて来た芸術文化。
脈々と流れる時間と、そこにいたであろう人々の創造性が現代まで続く歴史を作ってきたのだと、実感できる講義でした。
(30分程度の正座でしたが、かなりしびれてしまいました・・・)

さて、いよいよ「能」の実践です!
能は謡(うたい)と舞(まい)が両軸で成立します。
先ずは“台本”にあたる「謡曲」の謡に挑戦です!
曲は「猩々(しょうじょう)」。謡には発声の仕方により「弱吟(よわぎん)」と「強吟(つよぎん)」に分類されるそうで、今回は「強吟(つよぎん)」に挑戦しました。
謡本には点や丸でフシが記載さえれてあり、さながら楽譜の様。
張りのある津村先生の謡は圧巻でした・・・!




続いて「舞」に挑戦です。先ずは立ち方のレッスン。
「最近は胸がでて顎がでてケツが出る人が多い。」と津村先生。


能では“歩き”ではなく“運び”というそうです。スキーの滑走の時のように少し重心を前に倒して進みます。
方向転換も「足遣い」だけで行なうのだそうです・・・



足遣い
方向転換。体ではなく足が先行


そして、お扇子を開き、舞の所作にも挑戦。
先程の謡と合わせて、はじめての”能“体験となりました・・・!

最後に、貴重な能面の数々を見せて頂きました。
能面は小さめに出来ており、顎が出るようにして装着するのがポイントだそうです。
能面の寿命は長く、100年から200年くらいは使えるのだとか。
手に取り、顔に当ててみるPAI生たち。
能面は非常に精悍で精巧、美しさの際立つものばかりでした。


日本の古典的な舞台芸術表現の奥深さと強さに触れた2時間でした!




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